ピンクは情熱の色

【轟々海鳴り響く 戦向かう船の上

ただそのときだけを待つ 武士(もののふ)が如く

男一矢放つとき 燃ゆる想い放つ時

悠然と立ち誇る一樹(いつき)よ

我が人生(みち)の 心(ここ)に在る】

遥か感激の空へ 大きく唸りを上げて

燃える拳に誓い込め 飛ばせ一樹(かずき) それ一樹

 

 か、かっこいい……

 

 男・井上一樹はピンク色のリストバンドを着けていた。

楽天も横浜も弱かった2006年。中日は落合采配の下スマートでカッコいい野球をやっていて、子供らしくやっぱり強い球団(巨人以外)を応援したくなった俺は中日の試合をよく観た。福留や川上といったスターが輝いて見える中、井上はTHE・男という出で立ちにそぐわないピンク色のリストバンドを着けており、それでいてパンチのある打撃をするもんだからスターではなくとも猛烈に印象に残る選手だった。

 

ジェンダーに縛られている雑魚だからおおっぴらに言うことはないが、最近ピンクが好きになってきた。かわいいからという理由ではなく、人間の皮を一枚剥ぐとこの色が出てくるのが良いのだ。まず単純にグロデスクな艶めかしさがある。それ以上に良いのは、この皮を剥いだ色が人間の正体を端的に暴いているようで、生命としてのヒトらしさに立ち返ることができる色だという点である。

ヒトは一枚剥ぐとピンク色の塊であり、そこに一枚被さっているから人間としての個や社会が生まれる。そこらのアイツやコイツや俺は人間である前にヒトであり、ヒトであるからこそ人間である。さあお前らのやり方でメシを食え、繁殖をしろ。そんなことを思い起こさせてくれるピンクは他のどんな色よりも情熱的な色だと思う。燃えるピンクは我が人生(みち)の 心(ここ)に在る。

 

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最近終(つい)だったけど、書けと言っていたと聞いたので書いた。おかげで日記が22日坊主にならずに済みました、ありがとう。