ゴミ袋コレクター

全国各地のゴミ袋収集を生涯の趣味にしたいと考えていた時期がある。

自転車のサイドバッグが帆布素材のレトロなもので、防水でないため雨が降ったらカバーをかけなければならない。ただこのカバーが存外高く、ツーリングを始めた当初は別にちょっとくらい濡れても構わないと考えていたこともあり、バッグと一緒に買っておかなかった(今でも持っていない)。しかしこれが大失敗で、初めて北海道に行った際に大雨に降られ、大丈夫だろうと高をくくったまま宿に着いたら中に入れていたものが全部ビッショビショに濡れてしまっていた。

ちなみにそのとき避暑地への憧れを増幅させようと持っていった、トーマス・マンの「魔の山」上巻が全濡れしたため、今我が家には下巻しかない。本というものは下巻から読むとよくないので売るなり上巻を買うなりすべきなのだが、この本を見ると北海道の雄大な景色を初めて目にした感動や、寝袋を自転車に積んで仲間と旅した青春の一ページがほんのちょっとだけ蘇ってくるような気がするので、このままずっと読まずにとっておこうと思う。

そして更にメモとしてちなんでおくと、俺は1、2週間程度のキャンプツーリングに小説を持っていってもどうせ読まない。読み物は詩集程度に留めておいて日記でも付けとくほうがよい。


話を戻す。そんな訳でなんとか対策しなければならんと考え、カバー代わりにゴミ袋で覆って難を凌いだ。そして旅も終わり、家に帰って荷物を整理していた時にふと気が付いた。ご当地のお土産を色々買ったけど、一番ダイレクトにご当地感を訴えているのはこの夕張市のゴミ袋なんじゃないか?

例えば北海道中川郡音威子府村の名産品は音威子府そばだが、ここに行った証としてそばを部屋に飾るわけにもいかない。しかし音威子府村指定ゴミ袋なら長期保存に向いているし省スペースで済む。自治体ごとに色やデザインが異なっていて、その違いを見るのも面白い。そして何より特徴がないしょぼしょぼ市町村にも指定ゴミ袋は存在しているんだから、これは収集欲を掻き立てられる!俺はゴミ袋で全国制覇するぞ!

…なんて思っていたのだが、やろうやろうと思いつつもその情熱を失ってしまい、結局今手元にあるご当地ゴミ袋は旭川市夕張市の二つだけである。札幌も買った気がするが探す気力はない。そしてそもそも指定ゴミ袋がない自治体もあるらしい。ますます情熱が削がれた。とはいえ調べてみたらどうやら先駆者もいるみたいだし、ここらでいっちょ本気出してみようかな!?

 

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同じようにご当地マンホールも魅力的だ。でも手元に置けないからなあ。好きすぎてマンホール泥棒になったら困る。